特定技能【外食業】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

特定技能【外食業】

特定産業分野における人材の不足の状況

(1)特定技能外国人受入れの趣旨・目的
外食業分野において深刻化する人手不足に対応するため、専門性・技能を生かした業務に即戦力として従事する外国人を受け入れることで、本分野の存続・発展を図り、もって我が国の経済・社会基盤の持続可能性を維持する。

(2)生産性向上や国内人材確保のための取組等
(生産性向上のための取組)
店舗内調理等の機械化や作業動線の見直しによる省力化、食券販売機・セルフオーダーシステム・セルフレジ等の導入やキャッシュレス化によるサービスの省力化、その他店舗運営に係る各種業務のICT化等によって業務の省力化、省人化を進め、この効率化によって得られた余力人員、資金などを糧に新たな価値やサービスの創出(新しいメニューや業態の開発等)、付加価値向上(国産食材の積極的な使用、高付加価値食材の使用等)につながる取組が各企業の規模や業態に応じて行われている。
省力化・省人化の例として、一般社団法人日本厨房工業会による業務用厨房機器に関する実態調査によれば、食器洗浄機の国内販売台数は直近5年間で約70%増加している。また、付加価値向上の取組としては、ある外食チェーンでは、消費者の健康志向に応えるため、店舗で使用する野菜全てを国産に切り替え、そのことをアピールしたところ、メニュー価格を上げたにもかかわらず、利益は増加した例がある。さらに、農林水産省では、専門家による生産性向上の技術や優良事例の紹介を行う「食品産業生産性向上フォーラム」の開催や「外食・中食の生産性向上に向けた手引き」の作成・配付により優良事例の普及等を図るとともに生産性向上に向けた活動に対する国の財政面や金融税制面からの支援措置をまとめたガイドブックを府省横断で作成し、関連支援措置の普及に取り組んでいる。

(国内人材確保のための取組)
女性、高齢者を含む多様な人材を確保・維持する観点から、物理的な作業負担の軽減や安全対策の強化、転勤のない地域限定正社員制度の導入等育児・介護に配慮した働き方の推進、24時間営業や365日営業の見直しを含む営業時間の短縮等の取組が行われている。例えば、営業時間については、厚生労働省の調査によれば、調査対象451社中28.4%が過去3年間(平成25~27年度)に「営業時間が短くなった」と回答し、90.7%が24時間営業の導入状況について「行っていない」と回答している(厚生労働省「過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業報告書」(平成29年3月))。
こうした取組等も通じ、外食業の女性従業員比率は58.9%と全産業平均の44.3%の1.3倍であり(平成28年「経済センサス」)、また、高齢者従業員比率については、65歳以上の従業員割合が飲食店で12.9%と全産業平均(12.5%)を上回り、多様な人材確保に資するものとなっている(平成29年度厚生労働省「労働力調査」)

(処遇改善のための取組)
人手不足を踏まえた処遇改善のための取組として、パート・アルバイトの給与の引上げや正社員化の推進等の取組が行われている。例えば、直近3年間の「飲食店」のパートタイム労働者の給与(時給ベース)は一貫して増加傾向にあり、平成27年と30年(1月~9月分)の平均給与を比較すると6.0%増と全産業の増加率と同等の水準で増加している(厚生労働省「毎月勤労統計調査」)。
さらに農林水産省では、「食品産業の働き方改革早わかりハンドブック」を作成し労働環境の改善を推進するとともに、人手不足を踏まえた賃上げ等の処遇改善のため、「稼ぐ力」応援セミナーの開催等の取組を行い、関係者の理解増進が進みつつあるところである。

(3)受入れの必要性(人手不足の状況を判断するための客観的指標を含む。)
外食業分野の飲食物調理や接客といった業務は、状況に応じて臨機応変に作業内容を変える判断が必要となること、また手作り感やホスピタリティといった外食業ならではの価値を作り出すことが求められること等から、機械化による省力化にも限りがあるなど、生産年齢人口が大幅に減少する中で深刻な人手不足の状況が発生している。
平成29年度の外食業の有効求人倍率は、「飲食店主・店長」が12.68倍、「飲食物給仕係」が7.16倍、「調理人」が3.44倍、「外食(各職業分類を加重平均したもの)」が4.32倍であり、1.54倍である全体の3倍近くとなっている。また、外食業を含む「宿泊・飲食サービス業」の平成29年上半期の欠員率は5.4%と全産業計(2.4%)の2倍以上と高水準にある。これに外食業の従業員数約470万人を乗じると欠員数約25万人と試算されるところである。さらに、日銀短観によれば、「宿泊業、飲食サービス業」の雇用人員判断(DI)は、平成30年9月の実績がマイナス58、同12月の予測が、マイナス63と、どちらも全調査対象業種中最低となっている。
上記(2)のような取組を行ってもなお、外食業は深刻な人手不足の状態にあり、今後、生産性向上、国内人材確保の取組を継続していくとしても、人手不足が完全に解消される見込みとはなっていないところである。
また、外食業は、国民に豊かで多様な食生活を提供するだけでなく、訪日外国人旅行者を我が国に呼び込む上で魅力を提供するものであるが、集客力のある観光地等において飲食サービスの提供が求められるにもかかわらず、周辺に働き手が存在しないというミスマッチの発生が想定される。例えば、平成29年度の求人数・求職者数を分析したところ、大都市圏以外では、北陸地方や中四国地方において、人手不足の傾向が見受けられた。このような状況に対処して、今後も安全で質の高い商品・サービスの提供を行うための人材を十分に確保するためには、一定の専門性・技能を有する即戦力の外国人を受け入れることが必要不可欠である。

なお、外国人の受入れに当たっては、以下のような食品衛生に関する状況も考慮することが必要である。食中毒事件のうち、原因施設として判明しているものの中で「飲食店」が占める割合は常に高い。また、平成30年の食品衛生法(昭和22年法律第233号)の改正(平成30年6月13日公布)により、平成32年4月からは飲食店においてもHACCP(原材料の受入れから最終製品までの工程ごとに、微生物による汚染、金属の混入等の潜在的な危害要因を分析し、特に重要な工程を継続的に監視、記録する工程管理システム)に沿った衛生管理が求められることとなる見込みであることから、今後、外食業においてHACCPを含む衛生管理の知識を有する従業員の割合を増やしていくことが重要となっている。

(4)受入れ見込数
外食業分野における向こう5年間の受入れ見込数は、最大5万3,000人であり、これを向こう5年間の受入れの上限として運用する。向こう5年間で29万人程度の人手不足が見込まれる中、今般の受入れは、毎年0.5%程度(5年間で11.8万人程度)の生産性向上及び追加的な国内人材の確保(5年間で11.8万人程度)を行ってもなお不足すると見込まれる数を上限として受け入れるものであり、過大な受入れ数とはなっていない。

特定産業分野において求められる人材の基準

外食業分野において特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人は、以下に定める試験に合格した者又は外食業分野の第2号技能実習を修了した者とする。
(1)技能水準(試験区分)
「外食業技能測定試験(仮称)」

(1)技能水準及び評価方法
(技能水準)
当該試験は、飲食物調理、接客及び店舗管理の業務を行うのに必要な能力を測るものであり、これは、食品衛生に配慮した飲食物の取扱い、調理及び給仕に至る一連の業務を担い、管理することができる知識・技能を確認するものである。この試験の合格者は、運用方針5(1)の業務において、一定の専門性・技能を用いて即戦力として稼働するために必要な知識や経験を有するものと認める。
(評価方法)
試験言語:現地語及び日本語
実施主体:公募により選定した民間事業者
実施方法:コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式又はペーパーテスト方式
実施回数:国内及び国外でそれぞれおおむね年2回程度実施予定
開始時期:平成31年4月予定
なお、受験者は、申請時に飲食物調理主体又は接客主体を選択することができ、その場合、選択に応じて配点について傾斜配分を行うことを可能とする。

(2)試験の適正な実施を担保する方法
同試験は、試験実施に必要な設備を備え、写真付き本人確認書類による本人確認の方法により、替え玉受験等の不正受験を防止する措置を講じることができる試験実施団体に、試験実施主体から業務委託することで適正な実施が担保される。

(3)国内試験の対象者
国内で試験を実施する場合、①退学・除籍処分となった留学生、②失踪した技能実習生、③在留資格「特定活動(難民認定申請)」により在留する者、④在留資格「技能実習」による実習中の者については、その在留資格の性格上、当該試験の受験資格を認めない。

(2)日本語能力水準
「日本語能力判定テスト(仮称)」又は「日本語能力試験(N4以上)」

(1)「日本語能力判定テスト(仮称)」
ア 日本語能力水準及び評価方法
(日本語能力水準)
当該試験は、本制度での受入れに必要となる基本的な日本語能力水準を判定するために国際交流基金が開発・実施する試験であるところ、これに合格した者に
ついては、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有するものと認められることから、基本的な日本語能力水準を有するものと評価する。
(評価方法)
実施主体:独立行政法人国際交流基金
実施方法:コンピューター・ベースド・テスティング(CBT)方式
実施回数:年おおむね6回程度、国外実施を予定
開始時期:平成31年4月から活用予定
イ 試験の適正な実施を担保する方法
同試験は、試験実施に必要な設備を備え、国外複数か国で大規模試験の実施実績があり、かつ、替え玉受験等の不正受験を防止する措置を講じることができる
試験実施団体に業務委託することで適正な実施が担保される。

(2)「日本語能力試験(N4以上)」
ア 日本語能力水準及び評価方法
(日本語能力水準)
当該試験に合格した者については、「基本的な日本語を理解することができる」と認定された者であることから、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有するものと認められ、本制度での受入れに必要となる基本的な日本語能力水準を有するものと評価する。
(評価方法)
実施主体:独立行政法人国際交流基金及び日本国際教育支援協会
実施方法:マークシート方式
実施回数:国内外で実施。国外では80か国・地域・239都市で年おおむね1回から2回実施(平成29年度)
イ 試験の適正な実施を担保する方法
同試験は30年以上の実績があり、また、国外実施における現地の協力団体は各国の大学や日本語教師会といった信頼性の高い団体であり、主催団体が提供する試験実施マニュアルに即して、試験問題の厳重な管理、試験監督員の研修・配置、当日の本人確認や持ち物検査の実施等、不正受験を防止する措置が適切に講じられている。

(3)業務上必要な日本語能力水準
上記1.(1)の試験に合格した者については、業務上必要な日本語能力水準を満たすものと評価する。

その他特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する重要事項

1.1号特定技能外国人が従事する業務
外食業分野において受け入れる1号特定技能外国人が従事する業務は、運用方針3(1)に定める試験区分及び運用方針5(1)に定める業務に従い、上記第1の試験合格又は下記2の技能実習2号移行対象職種・作業修了により確認された技能を要する飲食物調理、接客、店舗管理の業務をいう。
あわせて、当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例:原材料調達・受入れ、配達作業等)に付随的に従事することは差し支えない。
なお、外食業分野の対象は、以下の日本標準産業分類に該当する事業者が行う業務とする。
76 飲食店
77 持ち帰り・配達飲食サービス業

2.従事する業務と技能実習2号移行対象職種との関連性
「医療・福祉施設給食製造職種:医療・福祉施設給食製造」の第2号技能実習を修了した者については、当該技能実習で修得した技能が、食品衛生に配慮した飲食物の取扱い、調理・給仕に至る一連の業務を担うという点で、1号特定技能外国人が従事する業務で要する技能の根幹となる部分に関連性が認められることから、外食業の業務で必要とされる一定の専門性・技能を有し、即戦力となるに足りる相当程度の知識又は経験を有するものと評価し、上記第1の試験を免除する。

3.分野の特性を踏まえて特に講じる措置
(1)「食品産業特定技能協議会(仮称)」(運用方針5(2)ウ関係)
農林水産省は、関係業界団体、登録支援機関その他の関係者により構成される「食品産業特定技能協議会(仮称)」(以下「協議会」という。)を組織する。
協議会は、構成員が相互の連携を図ることにより、外食業分野における外国人の適正で円滑な受入れ及び外国人の保護に有用な情報を共有し、次に掲げる事項について協議を行う。
① 外国人の受入れに関する情報の周知その他制度理解の促進
② 法令遵守に関する通知及び不正行為に対する横断的な再発防止
③ 外国人の受入れ状況の把握及び農林水産省への報告
④ 人材が不足している地域の状況の把握及び当該地域への配慮
⑤ その他外国人の適正で円滑な受入れ及び外国人の保護に資する取組

(2)農林水産省又はその委託を受けた者が行う調査等に対する協力(運用方針5(2)オ関係)
特定技能所属機関は、農林水産省又はその委託を受けた者が行う一般的な指導、報告の徴収、資料の要求、意見の聴取又は現地調査その他の指導に対し、必要な協力を行う。

運用指針5(2)特定技能所属機関に対して特に課す条件
特定技能所属機関は、1号特定技能外国人に対して、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。以下「風俗営業法」という。)第2条第4項に規定する「接待飲食等営業」を営む営業所において就労を行わせないこと。
特定技能所属機関は、1号特定技能外国人に対して、風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を行わせないこと。
特定技能所属機関は、農林水産省、関係業界団体、登録支援機関その他の関係者で構成される「食品産業特定技能協議会(仮称)」(以下「協議会」という。)の構成員になること。
特定技能所属機関は、協議会に対し、必要な協力を行うこと。
特定技能所属機関は、農林水産省又はその委託を受けた者が行う調査等に対し、必要な協力を行うこと。
特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、協議会の構成員となっており、かつ、農林水産省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。

特定技能外国人の雇用形態
直接雇用に限る。

参照:外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針

参照:「外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用 要領

参照:外食業分野における新たな外国人材の受入れについて

外食業分野ニュース

5/21 外食業の技能試験の合格者、347人が合格、合格率75.4%

外国人労働者受け入れ拡大に向けて創設された在留資格「特定技能」の取得に必要な外食業の技能試験の合格者が21日発表され、347人が合格した。合格率は75.4%。合格者は就職先探しや入管当局の審査を経て、早ければ6月中にも新資格を取得する見通し。特定技能の受け入れ対象14業種で技能試験の合格発表は初めて。外食業の試験は、外国人食品産業技能評価機構が4月に東京と大阪で実施。

合格者は男性231人、女性116人。国・地域別ではベトナム203人▽中国37人▽ネパール30人▽韓国15人▽ミャンマー14人▽台湾10人▽スリランカ9人▽フィリピン8人――などだった。
農林水産省によると、試験は外食業界で2年ほど働いた人の半数が合格する想定で、合格者は飲食店などでアルバイトをする留学生が多いとみられる。
特定技能の資格は3年の技能実習を修了すれば無試験で取得できるが、技能実習の対象外の外食と宿泊、4月時点で修了者がいない介護の3業種は、他業種に先行して4月に試験が実施された。

宿泊業は今月25日に合格発表の予定で、フィリピンで試験が行われた介護業は今月中にも合否が通知される。 一方、技能実習生からは今月9日、カンボジア国籍の女性2人が初めて特定技能を取得した。2人は和歌山県で農業に従事するという。【毎日新聞5/21参照】

面談予約・お問い合わせ

関連記事一覧

PAGE TOP