在留資格「特定活動」

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在留資格「特定活動」とは

特定活動とは?

特定活動とは「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」を指します。特定活動の在留資格は法務省によって最大5年付与されます。
特定活動には法務省によって明確に記されている特定活動(告示特定活動)と、明確にされていない特定活動があります。
特定活動の資格は、外国人個々に指定される活動なので、就労の可否・在留期間は、指定される活動内容により定められています。在留カードには、在留資格「特定活動」のみ記載され、どのような内容の特定活動かは記載されません。付与されている「特定活動」の内容を知るには、パスポートに添付されている「指定書」の記載内容を見る必要があります。

指定書とは?

特定活動での在留資格が許可されると、在留カードと共に「指定書」が発行されます。指定書は小さい紙で、基本的にパスポートに添付されます。指定書には活動内容詳細が具体的に記載されることになります。

在留資格「特定活動」での就労の可否

「特定活動」は、指定された活動のみが認められる在留資格です。例えば、家事使用人であれば家事使用人としての活動、ワーキングホリデーであれば在留中の生活費を稼ぐ活動、就職活動中の卒業生であれば就職活動に限り認められる在留資格です。
これらの指定された活動の内容は、在留カードとは別に交付(パスポートに貼付)される「指定書」に記載されます。
就職活動のように就労が認められない「特定活動」で在留する外国人が生活費を稼ぐには「資格外活動許可」を取得する必要があります。(週28時間までのパート、アルバイトが可能になります。)

在留資格「特定活動」の種類

特定活動は、大別して3つに分けることができます。

  1. 法定特定活動
  2. 告示特定活動
  3. 告知外特定活動

上記の1と2については、在留資格認定証明書交付申請を行うことができます。上記3については、在留資格認定証明書交付申請を行うことができず、主に、現在何らかの在留資格で日本に滞在している外国人が、在留資格変更許可申請を行った場合などに、在留資格「特定活動」が付与される可能性があるということです。

法定特定活動

「法定特定活動」は、特定研究事業活動と特定情報処理活動、特定研究等(ナノテクノロジーやバイオテクノロジーなど)またその活動時従事する外国人の扶養を受ける子の配偶者や子には家族滞在活動が該当します。

告示特定活動

「告示特定活動」とはワーキングホリデーやサマージョブなど2018年時点で43種類が指定されいましたが、改正入管法による「特定技能」という在留資格によって対象が広がりました。建設業と造船業の技能実習2号修了者で特定技能1号に変更する予定のある外国人は、特例措置として就労可能な特定活動の在留資格が与えられることになっています。また今後も告示特定活動の種類は増えるものと考えられます。

告示外特定活動

「告示外特定活動」とは、大学卒業から就職活動を継続している留学生の場合や外国から親を呼び寄せる場合などです。留学という在留資格で大学在学中に内定を得ても卒業して入社までに数ヶ月ある場合、日本に滞在する理由を示すことで告示外特定活動の在留資格に変更できる可能性があります。
尚、「告示外特定活動」は上陸審査基準の規定が無いため、在留資格認定証明書の交付の対象にはなりません。(つまり、告示外特定活動を理由として海外から入国することはできず、既に日本に在留している外国人の在留資格変更のみ認められるということです。)

告示特定活動の内容

法務大臣の告示により規定されているケース

 告示 1号 … 在留資格「外交」または「公用」で滞在する方に雇用される家事使用人

告示 2号 … 在留資格「経営・管理」または「法律・会計業務」で滞在する方に雇用される家事使用人 *1

告示 2号2 … 在留資格「高度専門職」で滞在予定の方に雇用され、同時期に日本へ帯同する家事使用人 *2

告示 3号 … 台湾日本関係協会(旧 亜東関係協会)の職員、及びその配偶者と子

告示 4号 … 駐日パレスチナ総代表部の職員、及びその配偶者と子

告示 5号 … ワーキング・ホリデー制度を利用する方 *3

告示 5号2 … ワーキング・ホリデー制度を利用する方 *4

告示 6号 … アマチュアスポーツの選手(月額報酬25万円以上)

告示 7号 … アマチュアスポーツの選手の配偶者と子

告示 8号 … 国際仲裁代理を行う外国弁護士

告示 9号 … インターンシップとして報酬を受ける活動を行う方(大学などの教育課程の一部、1年以内に限定)

告示 10号 … ボランティア活動を行う英国の方(1年以内に限定)

告示 11号 … — 削除 —

告示 12号 … サマージョブとして報酬を受ける活動を行う方(大学などの長期休業期間などを利用、3月以内に限定)

告示 13号 … — 削除 —

告示 14号 … — 削除 —

告示 15号 … 国際文化交流として報酬を受ける活動を行う方(大学などの長期休業期間などを利用、3月以内に限定)

告示 16号 … EPA(経済連携協定)に基づくインドネシア看護師の候補者

告示 17号 … EPA(経済連携協定)に基づくインドネシア介護福祉士の候補者

告示 18号 … EPA(経済連携協定)に基づくインドネシア看護師の配偶者と子

告示 19号 … EPA(経済連携協定)に基づくインドネシア介護福祉士の配偶者と子

告示 20号 … EPA(経済連携協定)に基づくフィリピン看護師の候補者

告示 21号 … EPA(経済連携協定)に基づくフィリピン介護福祉士の候補者(雇用契約が必要)

告示 22号 … EPA(経済連携協定)に基づくフィリピン介護福祉士の候補者

告示 23号 … EPA(経済連携協定)に基づくフィリピン看護師の配偶者と子

告示 24号 … EPA(経済連携協定)に基づくフィリピン介護福祉士の配偶者と子

告示 25号 … 長期間の入院、入院前後の医療行為を受ける方

告示 26号 … 長期間の入院、入院前後の医療行為を受ける方に同伴し日常の世話をする方

告示 27号 … EPA(経済連携協定)に基づくベトナム看護師の候補者

告示 28号 … EPA(経済連携協定)に基づくベトナム介護福祉士の候補者(雇用契約が必要)

告示 29号 … EPA(経済連携協定)に基づくベトナム介護福祉士の候補者

告示 30号 … EPA(経済連携協定)に基づくベトナム看護師の配偶者と子

告示 31号 … EPA(経済連携協定)に基づくベトナム介護福祉士の配偶者と子

告示 32号 … 技能実習を終了後に建設業務に従事する方(建設業務従事者確保の為、2020年度までの時限措置)

告示 33号 … 在留資格「高度専門職」で滞在する方の配偶者で就労活動を行う方

告示 34号 … 在留資格「高度専門職」で滞在する方及びその配偶者の親

告示 35号 … 技能実習を終了後に造船業務に従事する方(造船業務従事者確保の為、2020年度までの時限措置)

告示 36号 … 特定研究活動を行う方

告示 37号 … 特定情報処理活動を行う方

告示 38号 … 特定研究活動、または特定情報処理活動を行う方の配偶者と子

告示 39号 … 特定研究活動、または特定情報処理活動を行う方及びその配偶者の親

告示 40号 … 1年以内の長期観光、保養を目的とする方 *5

告示 41号 … 1年以内の長期観光、保養を目的とする方に同行する配偶者 *5

告示 42号 … 製造業外国従業員の受入事業における特定外国従業員(転勤期間は1年以内に限定、家族の帯同は不可)

 *1 雇用者側として、世帯年収が1,000万円以上、13歳未満の子または日常家事が出来ない配偶者が居ること、20万円以上の報酬を払うことが条件です
*2 雇用者側として、世帯年収が1,000万円以上、20万円以上の報酬を払うこと、1年以上既に家事使用人として雇用されていたことが条件です
*3 オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、ドイツ、英国、アイルランド、デンマーク、ノルウェー、香港、韓国、フランス、ポーランド、ポルトガル *4 台湾
*5 単独の場合には3,000万円以上、夫婦での場合は6,000万円以上の預金額が必要です(対象となる方の国籍は査証免除協定を結んだ国、地域に限定されています)

告示外特定活動の内容

告示に規定されていないものの、個々の事情により判断されるケース

・ 本国で世話をする身内が居ない、病気の治療が必要などの特別な事情を持つ高齢の親(受入家族に扶養能力が必要)

・ 大学などを卒業後に就職活動や起業活動の継続、また内定状態で待機する留学生(資格外活動許可を受け就労活動も可能)

・ 在留資格「家族滞在」で許可を受けている方の連れ子(本体である就労資格を有した方と養子関係などが無い場合)

・ 事実婚関係にあるパートナー(お子様の有無、同居歴など個々の事情により証明範囲が異なります)

・ 法的に同性婚が成立しているパートナー(近年の国際情勢を踏まえた同性パートナーへの救済措置)

・ 在留期限後に申請結果を不許可判断と知らされた後、申請内容の変更申出に同意し「出国準備期間」での活動指定を受ける方

・ 難民認定申請中で「特定活動」の許可を受ける方

審査基準

特定活動ビザの審査基準は、「特定研究、特定情報処理」に関する基準のみ公表されています。

次のいずれにも該当していること。

ただし、法務大臣が告示する情報処理技術に関する試験に合格し、または資格を有するときは、1に該当することを要しません。

  1. 従事する業務について次のいずれかに該当し、これに必要な技術または知識を習得していること。
    1. 当該技術もしくは知識に係る科目を専攻して大学を卒業し、またはこれと同等以上の教育を受けたこと
    2. 当該技術もしくは知識に係る科目を専攻して日本の専修学校の専門課程を修了したこと (修了に関し法務大臣が告示した要件に該当する場合に限る)
    3. 10年以上の実務経験 (大学、高校等において科目を専攻した期間を含む)​
  2. 日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を受けること

・「大学」には短大、大学院、附属研究機関等を含みます。
・「大学」と同等以上の教育を受けたとは、次の者を指します。
大学卒業同等として大学の専攻科・大学院の入学資格を付与される機関の卒業者及び短大卒業と同等の高等専門学校の卒業者
・専修学校の専門課程の修了に関する要件は、専門士または高度専門士と称することが出来ることです。

参照:出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件

まとめ

特定活動は様々な活動が個々で想定されております。特定活動の在留資格を取得した外国人本人でさえ、勘違い若しくは誤解から、本来の与えられた活動資格を逸脱して就労してしまうことも少なくありません。この様なトラブルを未然に防ぐためにも、雇用者側も注意が必要です。不法就労させたり、不法就労を斡旋した場合、3年以下の懲役・300万以下の罰金に処せられます。たとえ不法就労であることを知らなかったとしても、在留カードや指定書の確認等を怠たるなどの過失がある場合は処罰を免れる事ができません。外国人の雇用を検討する際には、必ず在留カードで在留資格を確認して下さい。そして在留資格が「特定活動」の場合は指定書の内容をきちんとチェックし、就労条件が記載内容に収まっていることをきちんと確認することを心掛けましょう。

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