在留資格「特定技能」で人材を受け入れる企業の要件

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在留資格「特定技能」について

外国人が日本に在留するためには、在留目的等を地方入国在留管理官署に申請し在留資格を認定される必要があります。在留資格「特定技能」は、以下の2種類があります。

特定技能1号

特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

特定技能2号

特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

特定技能1号のポイント 特定技能2号のポイント
在留期間 1年、6か月又は4か月ごとの更新、通算で上限5年まで 3年、1年又は6か月ごとの更新
技能水準 試験等で確認
(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
試験等で確認
日本語能力水準 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認
(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
試験等での確認は不要
家族の帯同 基本的に認められない 要件を満たせば可能(配偶者、子)
受入れ機関又は
登録支援機関による支援
対象 対象外

特定技能外国人を受け入れる分野について

特定技能外国人を受け入れる分野は、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお、人材を確保することが困難な状況にあるため、外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)です。

具体的な特定産業分野については、「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について」及び「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について」(ともに2018年12月25日閣議決定)の中で次のとおり定められています。

特定産業分野(14分野)

①介護 ②ビルクリーニング ③素形材産業 ④産業機械製造業 ⑤電気・電子情報関連産業 ⑥建設 ⑦造船・舶用工業

⑧自動車整備 ⑨航空 ⑩宿泊 ⑪農業 ⑫漁業 ⑬飲食料品製造業 ⑭外食業

  • 特定技能1号は14分野で受入れ可。下線の2分野(建設、造船・舶用工業)のみ特定技能2号の受入れ可

受入れ機関と登録支援機関について

受入れ機関(特定技能所属機関)とは、特定技能外国人を実際に受け入れ、支援する企業・個人事業主等のことです。
受入れ機関(特定技能所属機関)は外国人材と雇用契約(「特定技能雇用契約」という)を結びます。特定技能雇用契約では、外国人の報酬額が日本人と同等以上であることを含め所要の基準に適合していることが求められます。

受入れ機関(特定技能所属機関)について

受入れ機関が外国人を受け入れるための基準

  • 外国人と結ぶ雇用契約(特定技能雇用契約)が適切であること(例:報酬額が日本人と同等以上)
  • 受入れ機関自体が適切であること(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
  • 外国人を支援する体制があること(例:外国人が理解できる言語で支援できる)
  • 外国人を支援する計画が適切であること(1号特定技能外国人に対する支援について

受入れ機関(特定技能所属機関)の義務

  • 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること(例:報酬を適切に支払う)
  • 外国人への支援を適切に実施すること
    → 支援については、登録支援機関に委託も可。登録支援機関に全部委託すれば上記③の基準を満たす。
  • 出入国在留管理庁への各種届出を行うこと
  • (注)①〜③を怠ると外国人を受け入れられなくなるほか、出入国在留管理庁から指導、改善命令等を受けることがあります。

登録支援機関について

登録支援機関とは

登録支援機関とは、受入れ機関(特定技能所属機関)から委託を受け、1号特定技能外国人支援計画の全ての業務を実施する者のことです。受入れ機関(特定技能所属機関)は、特定技能1号外国人に対し支援を行わなければなりませんが、その支援を全て委託することができます。委託を受けた機関は、出入国在留管理庁長官の登録を受けることで、「登録支援機関」となることができます。支援内容については、以下の4に掲載しています。

  • 登録を受けた機関は、登録支援機関登録簿に登録され、出入国在留管理庁ホームページに掲載されます。
  • 登録の期間は5年間であり、更新が必要です。
  • 登録支援機関は、出入国在留管理庁長官に対し、定期又は随時の各種届出を行う必要があります。

登録を受けるための基準

  • 当該支援機関自体が適切であること(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
  • 外国人を支援する体制があること(例:外国人が理解できる言語で支援できる)

【登録の要件】
支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること
以下のいずれかに該当すること
登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に中長期在留者の受入れ実績があること
登録支援機関になろうとする個人又は団体が、2年以内に報酬を得る目的で、業として、外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること
選任された支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有すること
上記のほか、登録支援機関になろうとする個人又は団体が、これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められていること
1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと
支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと
刑罰法令違反による罰則(5年以内に出入国又は労働に関する法令により罰せられたなど)を受けていないこと
5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し著しく不正又は不当な行為を行っていないことなど

【法務省ホームページ】
1.登録支援機関の登録申請

登録支援機関の義務

  • 外国人への支援を適切に実施すること
  • 出入国在留管理庁への各種届出を行うこと
  • (注)①②を怠ると登録を取り消されることがあります。

登録支援機関登録簿

登録を受けた機関は登録支援機関登録簿に登録され、法務省出入国在留管理庁ホームページに掲載されます。

法務省ホームページ】
1.登録支援機関登録簿

(図)在留資格「特定技能1号」の受入れ機関と登録支援機関

1号特定技能外国人に対する支援について

「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について」で示されている受入れ機関(特定技能所属機関)又は登録支援機関が行う1号特定技能外国人への支援の内容は次のとおりです。

1号特定技能外国人に対する支援

  • ①外国人に対する入国前の生活ガイダンスの提供(外国人が理解することができる言語により行う。④、⑥及び⑦において同じ。)
  • 入国時の空港等への出迎え及び帰国時の空港等への見送り
  • 保証人となることその他の外国人の住宅の確保に向けた支援の実施
  • 外国人に対する在留中の生活オリエンテーションの実施(預貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約に係る支援を含む。)
  • 生活のための日本語習得の支援
  • 外国人からの相談・苦情への対応
  • 外国人が履行しなければならない各種行政手続についての情報提供及び支援
  • 外国人と日本人との交流の促進に係る支援
  • 外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合において、他の本邦の公私の機関との特定技能雇用契約に基づいて「特定技能1号」の在留資格に基づく活動を行うことができるようにするための支援

【法務省ホームページ】
1.支援に係る要領別冊

政府間の取り決めと送出機関・送出し手続きについて

特定技能に係る制度においては、送出し国によって労働者の送出しに係る手続きが異なるだけでなく、送出機関の介在の有無や役割などが各国政府によって個別に規定されることがあり、多種多様となっています。
日本政府は特定技能外国人の受入れに関して、主要9ヶ国を中心として、悪質な仲介事業者の排除や情報共有の枠組の構築のために、主要国との間で二国間取決めを締結することとしていますが、二国間取決めがない場合であっても、受入れに際しては日本および送出し国の法令を遵守して実施することが可能です。二国間取決めで送出し国政府が送出機関を認定するとされた場合には、各送出し国政府において自国の送出機関の適格性を個別に審査し、適正な送出機関のみを認定し、日本側で公表する仕組みを構築することとなっています。

送出し国・送出機関とは

二国間取決めの状況

分野別

特定産業分野(14分野)については、各所管省庁等によって分野別に運用方針・運用要領が定められています。分野別運用方針・運用要領に加え、分野別の協議会や試験に関する情報、説明会資料等の情報は下表(各所管省庁のホームページ)で確認できます。

分野 当該分野における所管省庁の協議会・試験開催等の情報掲載場所 所管省庁
介護 厚生労働省ホームページ
【介護分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)について】
厚労省
ビルクリーニング 厚生労働省ホームページ
【ビルクリーニング分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」について)】
素形材産業 経済産業省ホームページ
【外国人材(製造業)】
経産省
産業機械製造業
電気・電子情報関連産業
建設 国土交通省ホームページ
【建設分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)】
国交省
造船・舶用工業 国土交通省ホームページ
【造船・舶用工業分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)】
自動車整備 国土交通省ホームページ
【自動車整備分野における「特定技能」の受入れ】
航空 国土交通省ホームページ
【航空分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)】
宿泊 国土交通省ホームページ
【宿泊分野における新たな外国人材受入れ(在留資格「特定技能」)】
農業 農林水産省ホームページ
【農業分野における外国人の受入れについて】
農水省
漁業 農林水産省ホームページ
【在留資格「特定技能」による新たな外国人材の受入れ】
飲食料品製造業 農林水産省ホームページ
【飲食料品製造業分野における外国人材の受入れ拡大について】
外食業 農林水産省ホームページ
【外食業分野における外国人材の受入れについて】

特定技能に係る出入国在留管理庁への申請

特定技能外国人受入れに係る出入国在留管理庁(地方出入国在留管理局を含む)への主な申請は以下の5種類です。各申請手続の方法については、それぞれ以下リンク先(法務省ホームページ)で確認できます。

【法務省ホームページ】
1.在留資格認定証明書交付申請
2.在留資格変更許可申請
3.在留期間更新許可申請
4.登録支援機関の登録申請
5.登録支援機関の登録更新申請

まとめ

上記はJITCOのHPに記載されている内容です。
「特定技能」での外国人雇用を検討されている企業様にとって、要するに何から始めれば外国人を「特定技能」で雇用出来るんですか?わが社は「特定技能」で外国人を雇用出来ますか?というお問い合わせが増えております。以下に企業様の受け入れ要件・基準を記載いたしましたので参考にして下さい。

受け入れ機関(企業)自体が満たすべき基準

    1. 労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
    2. 1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
    3. 1年以内に行方不明者を発生させていないこと
    4. 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
    5. 特定技能外国人の活動内容に関わる文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備え置くこと
    6. 外国人等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
    7. 受入れ機関が保証金の徴収等を定める契約等を締結していないこと
    8. 支援に要する費用を、直接または間接に外国人に負担させないこと
    9. 労働者派遣をする場合には,派遣先が上記1から4の各基準を満たすこと
    10. 労働保険関係の成立の届出等を講じていること
    11. 雇用契約を継続して履行できる体制が適切に整備されていること(財政状況など)
    12. 報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと(金融庁が銀行へ通達も)
    13. 分野に特有の基準に適合すること

      外国人の支援 ※登録支援機関に全部委託する場合は満たすものとする

      1. 以下のいずれかに該当すること
        ア  過去2年間に中長期在留者の受入れまたは管理を適正に行った実績があ留学生、かつ、役職員の中から支援責任者及び支援担当者(事業所ごとに1名以上・支援責任者および支援担当者は兼務可能)を選任していること
        イ  役職員で過去2年間に中長期在留者の生活相談等にじゅじした経験を有する者の中から、支援責任者及び支援担当者を選任していること(兼務可・1人でも良い)
        ウ  ア又はイと同程度に支援業務を適正に実施することができる者(上場企業など)で、役職員の中から支援責任者及び支援担当者を選任していること
      2. 外国人が十分理解できる言語で支援を実施することができる体制を確保していること
      3. 支援状況に関わる文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備え置くこと
      4. 支援責任者又は支援担当者が、支援計画の中立な実施を行うことができ、かつ、欠格事由に該当しないこと
      5. 5年以内に支援計画に基づく支援を怠ったことがないこと
      6. 支援責任者又は支援担当者が、外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することのできる体制を有していること
      7. 分野に特有の基準に適合すること

受入れ機関が外国人と結ぶ雇用契約の基準

  1. 分野省令で定める技能を有する業務に従事させる者であること
  2. 所定労働時間が、同じ受入れ機関に雇用される通常(常勤従業員)の労働者の所定労働時間と同等であること
  3. 報酬額は日本人が従事する場合の額と同等以上であること(同等以上とは)
    「同等以上」とは、特定技能で働く外国人の報酬の額が、同等の業務に従事する日本人の報酬額と比較して同等以上という意味です。絶対額は定めておらず日本人の給料を参考に審査されます。
    (実効性担保のための施策)
    その実効性を担保するために、額面額、控除額、手取額等を明らかにする資料のみならず、現実に支払った報酬の額を示す資料の提出を求めることとしており、不当な控除がなされれば入管当局において把握できることとなっています。
    (その他の条件)
    その他の福利厚生や労働条件においても、同じ会社で勤務する日本人の雇用契約書などの条件と同じかどうかを審査で確認するとしています。
  4. 外国人であることを理由として、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について差別的な扱いをしていないこと
  5. 一時帰国を希望した場合、休暇を取得させること
  6. 労働者派遣の対象とする場合、派遣先や派遣期間が定められていること
  7. 外国人が帰国旅費を負担できなければ,受入れ機関が負担するとともに契約終了後の出国が円滑になされる措置を講ずること(帰国旅費は原則外国人の負担ですが、旅費を工面できないときは会社にフライト代の負担を求めるもの。なお、入国時のフライト代の企業負担は任意。) など
  8. 受入れ機関が外国人の健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置を講ずることとしていること
  9. 分野に特有の基準に適合すること

上記以外にも、企業様には入管への届出・報告義務があります。またコスト面でも外国人に支払う給料以外に支援費用(登録支援機関への委託費等)が掛かってきます。
「特定技能」での人材確保は制度の煩雑さやコストの面で敬遠する企業の方も多いと思いますが、弊所では、送出し機関への人材の依頼から日本での生活支援まで、包括的なサポートをさせて頂いております。
とりあえずは話だけでも聞きたい、制度についてもっと詳しく聞きたいなど、企業担当者様からのお問い合わせをお待ちしております。

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