建設業における技能実習制度

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建設分野技能実習の新たな受入れ基準について

令和元年7月5日、「建設関係職種等に属する作業について外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則に規定する特定の職種及び作業に特有の事情に鑑みて事業所管大臣が定める基準等(令和元年国土交通省告示第269号)」が公布され、建設キャリアアップシステムへの登録や報酬の安定的な支払い等の義務付け、受入人数枠の設定等を行うこととなりました。
詳細な内容については、「特定の職種及び作業に係る技能実習制度運用要領 ~建設関係職種等の基準について~」をご参照ください。

制度変更の背景

○ 建設業では、従事することとなる工事によって就労場所が変わるため現場ごとの就労監理が必要となることや、季節や工事受注状況による仕事の繁閑で報酬が変動するという実態を踏まえ、技能実習生の適正な就労環境を確保する必要があります。
○ 4月から、改正入管法による新たな在留資格(特定技能)の運用が開始されたことを受け、技能実習制度においても新制度との整合性を図りながら、適正な運用を図る必要が生じたところです。

国土交通省は上記の理由から建設業における技能実習制度の見直しを昨年公布し、令和2年1月1日より施行されました。
(実際は色々と問題の多い建設業界における技能実習生の立場を改善保護する意味合いでの改正だと、個人的に思っております。)

制度の概要

建設分野の技能実習計画の認定に当たり、以下の基準を追加し、外国人技能実習機構において審査することになりました。

(1)技能実習を行わせる体制の基準
・申請者が建設業法第3条の許可を受けていること(建設業許可のことです)
・申請者が建設キャリアアップシステムに登録していること
・技能実習生を建設キャリアアップシステムに登録すること
*許可を受けた建設業の種類と技能実習の職種は、必ずしも一致している必要はありません。
(例)「許可を受けた建設業の種類:とび・土工・コンクリート工事、技能実習の職種:とび」→OK 「許可を受けた建設業の種類:塗装工事、技能実習の職種:左官」→OK

(2)技能実習生の待遇の基準
・技能実習生に対し、報酬を安定的に支払うこと(要するに月給制のことです)

(3)技能実習生の数
・技能実習生の数が常勤職員の総数を超えないこと(優良な実習実施者・監理団体(*)は免除)
(要するに社員3人なら受け入れ可能な技能実習生も3人までということです。)
*企業単独型技能実習:実施者が技能実習法施行規則第15条の基準に適合する者である場合
団体監理型技能実習:実習者が技能実習法施行規則第15条の基準に適合する者であり、かつ、監理団体が一般監理事業に係る監理許可を受けた者である場合
※優良な実習実施者以外の団体監理型技能実習で常勤職員数が9人未満(1~8人)の場合、現行は最大9名の技能実習者を受け入れることが可能ですが、告示施行後は、常勤職員数までしか受け入れられないこととなります。 

スケジュール

(1)建設業法第3条の許可、建設キャリアアップシステムへの登録、報酬の安定的支払いについて
本基準が適用されるのは、

第2号技能実習計画の認定申請については、令和3年(2021年)1月1日
・第3号技能実習計画の認定申請については、令和5年(2023年)1月1日
以降に、外国人技能実習機構が認定申請を受理した場合です。

基準日より前に認定申請をする技能実習計画については、本基準は適用されません。
※郵送の遅延等により、基準日後に技能実習計画が受理された場合には、新基準が適用されます。

(2)技能実習生の数について
令和4年(2022年)4月1日時点で、技能実習生の総数が常勤の職員の総数以下となるように、調整を行ってください。

第1号技能実習計画の認定申請については、令和2年(2020年)1月1日から適用が開始されております。
私のところにも、新制度のことで問い合わせが何件かありました。その中でもやはり建設業許可がまだないお客様がおり、建設業許可の申請を頼まれて、私の方でやらさせて頂いた案件もありました。
新基準に対応するために、受け入れ企業様も大変だとは思いますが、何とか対応して技能実習制度の適正な運用に努めて下さい。

     

面談予約・お問い合わせ

今年から施行されたため、しばらくは各関係企業様は対応に追われるのではないかなと思いますが、当所では行政書士として適切なアドバイスをし、企業様の負担軽減のお役に立てるよう日々努めております。
今現在、技能実習生を受け入れられている企業様、今後、技能実習生の受け入れを検討している企業様からの技能実習制度に関するお問い合わせをお待ちしております。

            

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