特定技能制度と企業

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特定技能制度と企業

企業の人手不足解消と特定技能制度

外食産業、頼みは「特定技能」

6月23日付けの地元紙に特定技能関連の記事が載っていたので内容を見ながら特定技能制度について考えてみたいと思います。

記事によると今年の4月から施行された【特定技能制度】を活用し、居酒屋やレストランといった外食産業が、人手不足の解消につなげようと躍起になっているようです。具体的に言うと資格試験の受験費を肩代わりしたり、留学生のアルバイトに取得を促す企業も出始めているそうです。ただ、試験には全国から申し込みが殺到しており、受験するだけでも大変な状況が当分続きそうだ。

今現在の外食産業の現場における労働力は多くの留学生のアルバイトが支えています。しかし、あくまでも留学生の本分は勉学です。原則、留学生には日本での就労は認められていません。したがってどうしてもアルバイトをしなければならない事情があれば、資格外活動の申請をして、認められて、初めてアルバイトが出来ます。それでも資格外活動がメインにならないように入管難民法で週二十八時間までしか働けないように規制されています。単純に一日当たり4時間しか働けません。留学生をアルバイトとして雇う側の企業としては物足りなさを感じていると思いますし、より多くのアルバイトを雇う必要があります。そのような留学生のアルバイトの需要が高まりすぎて、近年ではそもそも働くことを目的に留学生の資格で来日する外国人も多数いるようです。最近ですと東京福祉大学の留学生大量失踪事件なんかは制度悪用が表面化した事例ではないでしょうか。

日本政府としても、近々の問題である少子高齢化による労働力不足に対応すべく新在留資格【特定技能】を創設し施行したわけですが、個人的にはこの制度は単純に労働力不足解消だけでなく、上記のような留学生の大量失踪事件などのような制度悪用を防ぐ制度だと思います。失踪した留学生の行き着く先は、残念ながら明るい場所ではないと思います。最悪の場合、犯罪組織に関わってしまう外国人も相当数いるようです。だが、新在留資格【特定技能】ができて運用がしっかりと出来てくれば、日本の企業も外国人を雇用する場合、違法だと解かって留学生を週28時間以上働かせたり、ましてや失踪留学生や不法残留外国人を雇用するメリットが何もないと理解でき雇わないはずです。また制度悪用を狙った組織も需要が無くなれば組織として衰退し消滅するでしょう。その為にも我々、行政書士が率先して制度の周知、法令順守を企業の皆様、在留外国人の方々にお願いし指導していかなければ(少々、上から目線になりますが)と考えております。

話が少々、横道にそれましたが、特定技能の資格を得れば最長で五年間、正社員と同様の労働が可能になります。

居酒屋チェーンを展開する企業(本社:名古屋市)は、自社店舗で働く留学生のアルバイトに対し、受験料(七千円)や、東京など居住地から離れた会場で受験する場合の交通費の肩代わりを打ち出したそうで、これは人材確保の有効な手段だと思います。私も、この居酒屋さんには何度か呑みに行ったことがありますが、とにかく安いです。もちろんツマミも美味しいです。名古屋周辺は世界のトヨタの本拠地であるせいか、製造業を中心に人材獲得競争が激しいと言われており、この居酒屋さんの担当者は「少しでも特定技能の人を増やしたい」と言っていますので、これからはこの居酒屋チェーンへ行ったら外国人スタッフがどの程度の割合でいるのか、お酒を飲みながら観察したいと思います。

また、この企業によりますと、社の業績にも人手不足の影響が生じているそうです。働き方改革の一環として四月から、年中無休だった名古屋市内などの店舗で週休一日制を導入。既存店に限れば、2019年度の売上高は前年度比6%減を予想。新規出店による規模拡大で、何とか売上高や利益は過去最高を更新できる見通しだが、頼みの新規出店にも人手は欠かせない状況。

資格試験の受験費の肩代わりは、6月24~28日に名古屋や東京など全国七都市で実施される第二回試験を受ける13人から始めて、交通費支援の対象者はなかった。同社の店舗全体ではアルバイトの留学生が約50人おり、経営者は「順次、希望者に受験してもらい、雇用確保に努めたい」と語っています。約50人の留学生アルバイト全員が特定技能に変更出来るとは思いませんが、この方針で外国人雇用の拡充を今から進めることは、将来的には大きなメリットになるのではないかと思います。

外食産業業界での特定技能への注目度は高く、3月下旬にあった第一回試験の募集では受け付けを開始した当日のうちに定員が埋まった。定員を増やした第二回の募集でも申し込みが集中した。第三回試験は秋ごろに実施される見通しだが、大都市部の会場では当面こうした状態が続くとみられる。居酒屋チェーンの担当者は「小まめに試験の情報をホームページで確認し、希望者の受験機会を確保したい」と話している。

今後は上記のような企業が増え、様々な特定技能制度に対する問題点が露出してくると思われます。おそらく何度も改正されこの制度も熟成してくることでしょう。行政書士の立場としては、制度の熟知と正しい運用をして、制度を利用する企業と外国人の橋渡し役が出来るのではないかなと考えています。そして、この特定技能制度は将来にわたって、日本の労働力不足の解消策の土台になっていくことは間違いないと思います。

◆外国人雇用の事業所増 4年前の1.58倍

厚生労働省によると、2018年10月末現在、外国人を雇用する事業所は全国に約21万6000カ所あり、4年前の1.58倍に増えた。業種別で4年間の増加比率をみると、「建設業」が2.89倍でトップ。「医療・福祉」1.76倍、「宿泊業・飲食サービス業」1.64倍と続いた。外食産業でも、外国人労働者への依存が進んだことがうかがえる。

4月に東京と大阪で実施された特定技能の外食分野の第1回試験では、計460人が受験。75.4%にあたる347人が合格した。第2回試験の定員は計2032人。資格取得には別に日本語能力試験に合格する必要があります。

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